樋口 新
1988年三重に生まれる。京都造形芸術大学大学院にて芸術表現を学ぶ。岩絵具の発色を活かした緻密な点描で自然界の動植物をテーマに独自の世界を展開させている。ラピスラズリ、孔雀石、ターコイズなど色鮮やかな点描は、それぞれの色調が互いに引き立てあうよう巧妙に配置され、画面は画家独特の瑞々しさにあふれる。主題に多く登場するカメレオンは環境によって七色に変化するが、その特徴を人間の複雑な感情の象徴として捉え好んで描いている。樋口は伊藤若沖の生き方や表現方法に多く影響を受けているが、特に輪郭線を描かずモチーフを表現する技法を巨匠に学ぶ。鮮烈な色彩、賑やかなモチーフ、そしてリズミカルな構図など若沖と世界観を分かち合いながら、画家独自の個性あふれる作風を確立している。