ヴァン・ドンゲン

2012年1月15日 - 2012年2月12日
OSAKA

開催概要

このたび、ギャルリーためなが大阪におきまして「Van Dongen(ヴァン・ドンゲン)」展を2012年1月15日(日)から2月12日(日)まで開催致します。

キース・ヴァン・ドンゲン(1877~1968)は、1877年ロッテルダム近郊に生まれた類稀なる才能に満ちたオランダの画家です。20歳のとき初めてパリの地を踏み、以来美術の道を歩み、1900年初頭にはマティス、ヴラマンク達と共にフォーヴィズムを代表する画家として輝かしい功績を残します。その後フォーヴィズムの終焉と共に彼独自の世界を展開させ、シャガール、モディリアニ、藤田等が活躍したエコール・ド・パリ華やかなりし頃のフランス画壇を席巻し、近代美術を代表する画家としてその名を美術史に刻んでいきます。

フォーヴィスト唯一の肖像画家としても名高いヴァン・ドンゲンは、1920年以降パリで流行した細みでエレガントなドレスを身にまとう女性のイメージを、洗練された感性でキャンバスの上に描き出しました。祖国オランダの巨匠レンブラントを敬愛する彼は、内面描写にも優れ、モデルが浮かべる微かな哀愁の表情を巧みに捉えた官能的とも映る新しい作風は、パリ社交界で絶大なる人気を博します。ブリジット・バルドーをはじめ、著名な女優、貴婦人たちからの注文が殺到し、一躍パリ社交界の寵児となり、後にフランス政府よりレジオン・ド・ヌールを受勲するに至りました。

一方、きらびやかな世界とは反対に、飾り気のない簡潔な形状と落ち着きある色彩を用い、パリ、ヴェニス、そしてエジプトなどの風景も制作。フォーヴ時代の特徴でもある原色を多用した色彩とは異なり、抑制された色調で描かれた風景画を観ると、強烈な色彩に頼る必要のない画家の天性の色彩感覚と美的感性が遺憾なく発揮されていることに気づかされます。色調の主役にはグレーを好んで用い、それが単純な形状と相まって、優しく静かな時の流れを感じさせる作品が誕生しています。

ピカソやマティスと並び称される大家となったヴァン・ドンゲンの美術界への影響力は非常に大きく、藤田嗣治もその影響を受けた一人です。ヴァン・ドンゲンの作風から着想を得、自らの画法を築きあげていくほどの本質的な衝撃と影響でした。ヴァン・ドンゲンの大刷毛で描く大胆な筆致に感銘するも、藤田は追従することなく、逆に面相筆が描く極細の線による表現を追及し始めます。 藤田の技法はヴァン・ドンゲンを尊敬しながらも、対峙することで生まれたものと言えるかもしれません。

弊社創業者爲永清司は、1950年代に渡仏し、ヴァン・ドンゲンと親しく交流し芸術論を交わす間柄でした。藤田のアトリエを訪れていた爲永は藤田、ヴァン・ドンゲンの双方から互いのエピソードを聞く機会も多くありました。エコール・ド・パリを代表する画家二人の間に爲永が介在し、当時日本では全く無名のエコール・ド・パリの作家達こそ次世代を担う画家であることを確信し、彼らの作品を日本に紹介すべく蒐集に尽力してまいりました。その甲斐あって爲永はヴァン・ドンゲンの作品一点を自ら携え帰国。その作品が日本の画廊として初めて公開されたヴァン・ドンゲン作品となり、それから半世紀近い時を経た現在、国内有数の美術館で作品が収蔵され、また著名な個人蒐集家の方々のコレクションにも加わるようになりました。当画廊が長年にわたりそのお手伝いをすることができたことを心より嬉しく思う次第でございます。

2008年、モナコにて初めて設立された国立美術館の開館を飾る展覧会として、世界有数の美術館や個人コレクター蒐集の名品を一堂に介しヴァン・ドンゲン展が開催されました。翌年にはモントリオール美術館にて北米最大級の回顧展も行われ、その展覧会がバルセロナのピカソ美術館へと巡回していきました。2010年には画家の祖国であるオランダ、ロッテルダムのボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館、2011年にはパリ市立近代美術館にて大回顧展が開催され、共に大きな成功をおさめております。これらの展覧会には弊社作品も出品され、多くの方にご高覧いただきましたことを大変光栄に存じております。

今展では、華やかな社交界の肖像画、パリ、ヴェニス、エジプトなどの風景画、そして画家が愛した花々など、
約40点をご紹介致します。ヴァン・ドンゲンは自らの作品について多くを語らず、人々の想像力にその解釈を委ねました。皆様にとってヴァン・ドンゲンの美的感性と芸術的信念に想いを馳せる機会になれば幸いです。

アーティスト紹介

会場情報

1-4-1 SHIROMI, CHUO-KU HOTEL NEW OTANI OSAKA – ARCADE 1F

540-0001 OSAKA

JAPAN

11:00 – 20:00 会期中無休